Wednesday, February 06, 2008

シュウ ウエムラ

シュウ ウエムラが亡くなったのは昨年12月29日だったそうだ。ちょうど年の暮れなので、親族だけの身内で密葬し、今年の松の内を過ぎて公表した。
私がウエムラの秘書からそれを電話で知らされたとき、思わず、むせび泣きをしてしまった。こんなことは、かって無かったことだ。

肺炎が原因というが、末期癌が骨にまで侵していたのだ。最後に「及川に会いたかった」と言ってから、大きくひと呼吸してそのまま逝ってしまった、という。ちょうど、その日の朝、「なぜ、連絡がとれないのだ」と嫌みの手紙を出していたのだ。

シュウ ウエムラの後には、もうあれだけの人間は美容界には出てこないだろう。アートを理解し、その上に大きな人柄だった。ヨーロッパでは「シャネルが化粧品をファッションにし、シュウ ウエムラがアートにした」という定評がある。

ウエムラは80年代の頭初からアートを後援してくれた。たんに金を出すだけでなく、アートの意向を察してくれた。前衛的なパフォーマンス運動に援助する人など他にはいなかった。そして、彼のメイクアップ ショーもパフォーマンス的だった。

ヤン・ファーブルの『劇的狂気の力』、パリ オペラ座のGRCOPの招聘。それに東京アートセレブレーションやパフォーマンスのパリ公演など。
しかし、彼の見識の素晴らしさは、バブル期に起こった企業メセナや文化事業の風潮と同時に、アートへの後援を中止したことだったかもしれない。

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