宇宙は膨張するのか、収縮すのか?
宇宙は現在、膨張している。さて、宇宙は、このまま永久に膨張を続けるのか? それとも、いつか膨張が止って収縮に転じ、潰れるのか?
前者の場合、宇宙に終りはなく、後者の場合、有限の寿命で宇宙は死を迎えることになる。このような宇宙の最終的な運命については、理論的に予言できることではなく、観測によって判断するしかない。
宇宙の運動は、ロケットの運動と対比して考えることができる。ロケットの運動を記述するニュートンの運動方程式は、「無限の彼方に飛び去ってしまう」ロケットも、「いつたん上昇してから落下してくる」ロケットも同じように記述している。実際のロケットがいずれの運命になるかは、個々のケースで速度と重力の兼ね合いを調べねばならない。宇宙もそれと同じである。前者が永遠に膨張を続ける場合、後者がいったん膨張が止ってから収縮に向う場合に対応するのだ。
宇宙の運命を判断する場合、いくつかの観測の方法がある。
そのひとつが、宇宙空間が膨張することによって生じる「銀河の運動エネルギー」と「銀河間に働く協力エネルギー」の大きさを比較する方法である。もし運動エネルギーが勝(まさ)っているなら、全エネルギーがプラスになり、宇宙は永遠に膨張を続けることになる。
そこで、運動エネルギーと重力エネルギーの大きさを独立に観測して、その大きさを比較する必要がある。運動エネルギーの大きさは、ある距離内の銀河の後退速度(宇宙膨張の速度)を測定することで決定できる。この場合、物質としては星や銀河となって輝いているパリオンだけでなく、ダークマターも含めなければならない。
いけうち・さとる
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上の記事は、『科学はどこまで進化しているか』(祥伝社新書、2015年)より引用させて頂きました。
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